出生前検査(おなかの赤ちゃんの検査)について
「出生前検査」とはおなかの赤ちゃんの状態を詳しく確認するための検査です。
この検査は、大きく分けて2つの目的があります。
- 赤ちゃんの「染色体(遺伝子)」を確認する検査
- 赤ちゃんにダウン症候群などの染色体の変化があるかどうかを調べます。
- 赤ちゃんの「体の形や育ち」を確認する検査
- 超音波(エコー)を使って、赤ちゃんの心臓や脳などの臓器、体のつくりに異常がないか詳しく調べます。
当院の考え方
染色体の検査について
妊娠初期に行う染色体の検査は、「必ず受けなければいけないもの」とは考えておりません。不安を感じている妊婦さんが、ご自身の意思で受けるかどうかを判断していただくものです。
- 「検査を受けるべきか迷っている」
- 「どの検査が自分の希望に合っているか知りたい」
このような方は初回の妊婦健診にて、納得のいく答えを出せるように丁寧にお手伝いいたします。
エコーによる「胎児スクリーニング」について
一方で、妊娠中に行う胎児精密超音波検査は、すべての妊婦さんに受けていただきたい大切な検査だと考えております。赤ちゃんがおなかにいる間に病気を早く見つけることは、出産後すぐに大学病院などで適切な治療を受けられるよう準備を整えることにつながります。これは、お子さんの健やかな成長を守るために非常に重要です。そのため、当院では通常の健診スケジュールの中に、妊娠14〜17週、18〜20週、28〜30週の計3回の胎児精密超音波検査を組み込んでおります。
そのほかに、より早期に赤ちゃんの異常を見つけるため、初期胎児ドックと呼ばれる精密超音波検査を、妊婦さんの希望に応じて実施しています。(別途費用がかかります。)

胎児精密超音波検査とは
胎児精密超音波検査は、おなかの赤ちゃんの体のつくりや発育を詳しく確認する超音波検査です。
通常の妊婦健診で行う超音波検査よりも時間をかけて観察し、赤ちゃんの心臓や脳、顔、お腹、背骨、手足などを一つひとつ丁寧に確認します。
当院では、赤ちゃんの異常をできるだけ早く見つけ、必要に応じて適切な治療や出産後の準備につなげるために、
- 妊娠14〜17週:初期胎児精密超音波検査
- 妊娠18〜20週:中期胎児精密超音波検査
- 妊娠28〜30週:後期胎児精密超音波検査
の計3回を、妊婦健診の一環として実施しています。
検査のポイント
- 超音波を専門とする医師による詳細な超音波検査
- 超音波を専門とする医師が、詳しく赤ちゃんの状態を確認します。
- 計3回の検査で検出率を高めます
- 赤ちゃんの体の作りや発育の異常には、妊娠の時期によってわかりやすい時期とそうでない時期があります。そのため当院では3回にわたって詳しく検査をすることで、赤ちゃんにもし異常を認めた場合、それを可能な限り早く見つけてあげられるよう努めています。
検査で確認すること
- 赤ちゃんの発育が順調か
- 心臓の形や動き
- 脳や顔の形
- 背骨やお腹の状態
- 手足の発育
- 胎盤や羊水の状態 等
これらを総合的に確認することで、生まれる前に治療や専門施設での管理が必要な病気を早期に見つけられることがあります。
染色体の検査との違い
胎児精密超音波検査は、赤ちゃんの「体の形」を詳しく調べる検査です。
一方、NIPTやFMFコンバインドプラス、クアトロテストなどは、赤ちゃんの染色体(遺伝子)の変化の可能性を調べる検査です。
それぞれ役割が異なるため、どちらか一方だけで赤ちゃんの状態をすべて確認できるわけではありません。
大切なポイント
胎児精密超音波検査は非常に重要な検査ですが、すべての病気や異常を発見できるわけではありません。
また、妊娠週数によって見えやすい部位が異なるため、当院では妊娠中に初期・中期・後期の3回にわたって詳しく確認しています。
初期胎児ドックとは
当院の初期胎児ドックは、お腹の上からの精密な超音波(エコー)検査により、赤ちゃんの染色体疾患の可能性を詳しく調べる検査です。
検査のポイント
- 専門家による詳細なエコー検査
- 胎児医学の権威である英国Fetal Medicine Foundation(FMF)の基準に基づき、専門の資格を持った医師が赤ちゃんの様子を細かく確認します。
対象となる時期
妊娠11週0日~13週6日までの方が対象になります。
検査で確認すること
赤ちゃんの発育状況や、現在の体のつくりを丁寧にチェックします。
- 首の後ろのむくみ(NT)計測、鼻骨、心拍数、静脈管血流、三尖弁血流
以上の5項目から赤ちゃんの染色体疾患の可能性を計算します。 - 胎児各部の観察
- 妊娠初期では形態異常の検出には限界があり、妊娠中期以降で明らかになることもあります。
費用
35,000円
NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは
妊婦さんから採取した血液を用いて、血液中に存在するDNA断片(cfDNA)を分析し、胎児が特定の染色体異常症である可能性を調べる遺伝学的検査です。
対象となる疾患
- ダウン症候群(21トリソミー)
- 18トリソミー
- 13トリソミー
検査のポイント
- 採血による胎盤由来DNAの判定
- 妊婦さんの血液中に浮かんでいるDNA断片(cfDNA)の大部分は母体に由来しますが、一部(およそ10%)は胎盤に由来しています。NIPTでは、妊娠10週以降に採血を行い、これらのcfDNAをまとめて分析し、特定の染色体に由来するDNA断片の量を統計学的に評価します。
対象となる時期
妊娠10週0日〜14週6日までの方が対象になります。
- 本検査は本来妊娠9週以降に実施可能なものですが、判定保留となる確率を下げるため、当院では妊娠10週以降で実施いただくことを推奨しています。
- 本検査自体は妊娠15週以降も実施可能ですが、陽性となった場合に実施する追加検査に必要な期間などを考慮し、当院では14週6日までとしています。
検査結果と注意点
- 陽性:胎児が対象となる染色体異常を有している可能性が高いことを意味します。ただし、陽性であっても実際には染色体異常を有していない場合があります。そのため、NIPTのみで診断を確定することはできず、診断を確定するためには羊水検査などの確定的検査が必要です。
- 陰性:胎児が対象となる染色体異常を有している可能性が低いことを意味します。ただし、陰性であっても実際には染色体異常を有している場合がごく稀にあります。そのため、陰性の結果であっても対象疾患を完全に否定できるわけではありません。
- 判定保留:約0.9%の頻度で生じます。主な原因として、母体血液中の胎盤由来cfDNAの割合が低いことなどが挙げられます。通常は再採血による再検査を行いますが、再検査でも判定保留となる場合があります。
費用
100,000円(遺伝カウンセリング費用込)
- なお、検査で陽性となったのち、羊水検査を実施する場合にはその費用が検査会社より補填されます。
FMFコンバインドプラスとは
初期胎児ドック+採血
FMFコンバインドプラスは、初期胎児ドックによる詳細な超音波検査と、妊婦さんの採血を組み合わせて、赤ちゃんの染色体疾患の可能性を評価する検査です。
対象となる疾患
- ダウン症候群(21トリソミー)
- 18トリソミー
- 13トリソミー
検査のポイント
- 初期胎児ドックが含まれます
- エコーによる赤ちゃんの観察と、お母さんの血液成分の測定をセットで行うことで、精度の高い確率計算をします。
対象となる時期
- 妊娠11週0日~13週6日までの方が対象になります。
検査で確認すること
赤ちゃんの発育状況や、現在の体のつくりを丁寧にチェックします。
- 首の後ろのむくみ(NT)計測、鼻骨、心拍数、静脈管血流、三尖弁血流
この5項目に加え、お母さんの血液成分(hCG、PAPP-A)から赤ちゃんの染色体疾患の可能性を計算します。 - 胎児各部の観察
- 妊娠初期では形態異常の検出には限界があり、妊娠中期以降で明らかになることもあります。
費用
65,000円
クアトロテスト(母体血清マーカー検査)とは
クアトロテストは、胎児が特定の先天性疾患をもつ可能性(確率)を評価するスクリーニング検査です。
対象となる疾患
- ダウン症候群(21トリソミー)
- 18トリソミー
- 神経管開放性疾患(頭蓋骨や脊椎が正常に形成されない疾患)
検査方法
妊婦さんから採血を行い、血液中の4つの成分(AFP、hCG、uE3、inhibin A)を測定します。
これらは胎児や胎盤で産生される物質であり、対象疾患がある場合には特有の変動パターンがみられます。
測定値をもとに、胎児が疾患を有する確率を算出します。
対象となる時期
- 妊娠15週0日~16週6日までの方が対象になります。
- 本検査自体は妊娠17週以降も実施可能ですが、陽性となった場合に実施する追加検査に必要な期間などを考慮し、当院では16週6日までとしています
検査の注意点
この検査は診断を確定するものではなく、あくまで確率を評価するものです。そのため、以下のような結果が一定の頻度で生じます
- 偽陽性:実際には異常がないのに陽性となる
- 偽陰性:実際には異常があるのに陰性となる
また、検査値は妊娠週数や母体因子(体重、糖尿病の有無など)の影響を受けます。
母体年齢が高いほど、陽性と判定される傾向があります。
費用
25,000円
初期胎児ドック+NIPTとは
お腹の上から赤ちゃんの体の形を詳しくみる「初期胎児ドック」と、お母さんの採血から赤ちゃんの染色体の変化を調べる「NIPT検査」を組み合わせて行うことができます。
なぜ組み合わせた検査が必要なのですか?
血液検査(NIPT)だけでは分からないことが、エコー検査で見えてくる場合があるからです。
- 体のつくりを確認するため:赤ちゃんの病気の中には、頭の骨が形成されない「無頭蓋症」など、血液検査の結果に関わらず、その後の妊娠継続や治療が非常に困難なものも存在します。
- より詳細な検査が必要か判断するため:エコー検査で赤ちゃんの体のつくりに複数の心配な点が見つかった場合、NIPTで調べられる範囲(ダウン症候群や13/18トリソミーなど)よりも、さらに詳しく遺伝子や染色体を調べる必要があるかもしれません。
検査の流れ
まずは「初期精密超音波検査」からスタートします。
エコー検査で明らかな異常がない場合:予定通り「NIPT検査」へと進みます。
エコー検査で気になる点が見つかった場合:状況に応じて、羊水検査などのより詳しい遺伝学的検査の中から、お一人おひとりに最適な検査をご提案し、選択していただきます。
費用
35,000円+100,000円(NIPTを実施した場合)
さいごに
出生前検査を受けるかどうかに「正しい答え」はありません。私たちは、出生前検査を受けることだけでなく、「安心して妊娠・出産を迎えられること」を何より大切にしています。一人ひとりの想いや価値観に寄り添い、ご納得いただいたうえで最善の選択ができるようお手伝いいたします。不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
