無痛分娩

2024年11月より、無痛分娩の受け入れを開始いたしました。

  • 現時点では対象者は経産婦さんに限らせていただいており、また予約枠も非常に少なくなっております。大変申し訳ございませんが、ご希望の方はお早めにお申し込みをお願い致します。
  • 申し込みは20週以降で分娩予約を完了された方から先着順となります。枠が埋まってしまった場合には、キャンセル待ちにてご予約をお受けすることも可能です。

今後受入件数の拡大や、初産婦さん・自然陣痛発来患者様への適応拡大など段階的に行う予定です。

目次

痛分娩とは?About

無痛分娩とは、麻酔を使用することで出産時の痛みを緩和する分娩方法です。

痛みを和らげることで心身の負担を減らすことができるほか、一般的に産後の回復も早いことが多く、妊婦さんにとって多くのメリットがあります。

一方で麻酔をすることによる分娩へのデメリットもあり、また麻酔の実施には一定のリスクが伴うため、これらをきちんと理解した上で、安全に麻酔の管理が行える施設で実施することが重要です。

無痛分娩は痛くないってほんと?

「無痛」という言葉が使われていますが、英語では「Labor Epidural Analgesia(硬膜外麻酔による産痛緩和)」と言われています。「緩和」という言葉が示す通り、完全に痛みがない状態を保証するものではなく、生理痛程度の痛みが残る場合もあります。完全に痛みを取ることを最優先に管理してしまうと、麻酔薬の量が多くなりすぎ、分娩経過や赤ちゃんの健康状態に影響が出ることがあるため注意が必要です。

当院では麻酔科の資格を持った医師が赤ちゃんとお母さんの健康に配慮し、安全面を重視した無痛分娩を提供しております。

酔の方法Anesthesia

当院での無痛分娩は、基本的に硬膜外麻酔で行います。一方で、分娩の進行状況などに応じて、硬膜外麻酔に脊髄くも膜下麻酔(腰椎麻酔とも言います)を組み合わせた脊髄くも膜下麻酔硬膜外併用麻酔を実施する場合もあります。

1. 硬膜外麻酔

引用: 日本産科麻酔学会

背中や腰に注射針を刺し、脊髄を覆うくも膜と硬い膜 (硬膜)の外側にある硬膜外控と呼ばれるエリアにカテーテルを挿入・留置します。カテーテルを介して持続的に局所麻酔薬を投与することができるため、中・長期的に安定した鎮痛効果が期待できます。一方で、効果が得られるまでやや時間を有すること(15分〜1時間程度)、カテーテルの留置されている位置によっては効果的な鎮痛が得られない可能性がある、といった面もあります。

2. 脊髄くも膜下麻酔

引用: 日本産科麻酔学会

硬膜外腔よりさらに先にある、脊髄を覆っている膜(くも膜)の中にある液体(脳脊髄液)中に局所麻酔薬を投与する麻酔法です。下半身の痛覚を遮断することで痛みが一時的に消失します。通常3-4時間程度効果が持続します。

痛分娩の流れFlow

現在、当院は完全計画無痛分娩です。

入院前日
15:00

入院施設について助産師よりご案内いたします。

17:00頃

診察にて子宮口の開き具合を確認します。この時点で開き具合が不十分な場合には、子宮口を広げる処置を行う可能性があります。

計画分娩当日
08:00

促進剤を用いて分娩誘発を開始します。陣痛が徐々に強くなり、お産が進行してきたところ(概ね子宮口が4-5cm開いたところ)で、麻酔の処置を行います。疼痛の強さは個人個人異なりますので、麻酔のタイミングに関しては患者さんと相談の上行っていきます。

麻酔挿入時の姿勢

痛分娩のメリット・デメリットPros and Cons

無痛分娩は、分娩に伴う痛みを軽減することができる、非常に優れた方法です。しかし、無痛分娩にもいくつかのデメリットがあります。無痛分娩のメリット・デメリットを十分にご理解いただいた上で、ご希望の分娩方法をご選択ください。

  • 当院の無痛分娩の麻酔は原則麻酔科標榜医(厚生労働省より麻酔の実施や管理に関する十分な知識や技量を有していると判断された医師)の資格を有している医師が行います。
  • 当院の医師・助産師は全員、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA) が提供する無痛分娩の安全な診療のための講習会を修了し、無痛分娩の安全性に関する専門的な知識を有しております。
  • 合併症やBMIなどによって当院で無痛分娩を実施するリスクが高いと判断される場合には、無痛分娩をお受けできない場合があります。ご了承ください。

メリット

  • 分娩に伴う痛み(陣痛、会陰切開、縫合など)を高いレベルで軽減することができる。
  • 疼痛をコントロールすることで落ち着いて分娩に臨むことができ、いきむ時などに医師や助産師と冷静にコミュニケーションが取れる。
  • 分娩進行中の力みが取れることなどで体力が温存でき、産後の回復が早い傾向にある。
  • 痛みが少ないため血圧が上昇しにくい。

デメリット

  • 麻酔の影響で分娩の進行が緩徐になることがある。(無痛分娩では自然分娩と比較して分娩時間が延長することがわかっています。)
  • 麻酔薬の影響で痒みや頭痛、吐き気、眠気、血圧の低下などが起こることがある。
  • 麻酔の手技や麻酔薬の影響で、下肢などの感覚が鈍くなったり、しびれや力が入りにくくなったりする。
  • 吸引・鉗子分娩の確率が上がる。(帝王切開率は上昇しないと言われています。)
  • 硬膜外カテーテルが本来留置されるべき出ない場所に迷入することで、局所麻酔中毒や全脊椎麻酔など、命の危険のある合併症を引き起こすことがある。(全身の状態を常に注意深く観察することで発生を未然に防ぐことができ、また発生しても適切な対処が可能となります。)

Cost

通常の分娩費用に加えて、10万円の追加費用(自費)がかかります。

約方法Reserve

  • 妊娠20週以降で分娩予約金をお支払いになられた方からご予約をお取りします。希望される方はお気軽に主治医や外来看護師、外来受付にご相談ください。
  • 33-35週ごろ無痛の実施に必要な検査(採血、胸部X線検査、心電図検査)を受けていただきます。
  • 36週ごろに麻酔科医師の無痛説明外来を受診していただきます。

その他、ご不明点などございましたらお気軽に病院スタッフにご相談ください。

当院で分娩される皆様の大切な瞬間を、精一杯お手伝いさせていただきます。

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